
1000万分の1=・・・
written by zeus
わたしはテーブルに備えついているイスに座り、
胡坐をかき、頬杖をしながら目の前でパタパタと動き回る
バカをボーっと眺めていた。
わたしの鼻に食材と調味料が混ざり合った良い匂いと
フライパンの上で飛び跳ねて踊り、脳を刺激する音が響いている。
カチャカチャと食材を混ぜる音、限定的なスペースで行ったり来たりしている
スリッパの音。
そんな、どうでもいい、日常あふれる音。
他人にはつまらないもので、そしてわたしには見ているだけで幸せな気分になれる音。
毎日毎日、この光景を眺めているけど少しも飽きなかった。
そしてわたしは深呼吸よりも、深いため息をつく。
いつ、アイツはわたしに想いを告げてくれるのだろう。
わたしから、というのは可能性として無くもないが、できる限りそれは避けたかった。
別に告白は男から、とそんな偏った考えがあるわけじゃなく、ただ単にわたしたちの場合では
アイツからというのが、わたしたちらしい、感じがしたから。
でもアイツは「あの」3年前から現在でも、ほとんど一日中一緒にいるにもかかわらず、
その胸の内に秘める想いを告げてくれることはなかった。
一度、わたしのことは女としてではなく、家族として好きなんだろうか、と勘ぐったが、
アイツの、わたしを見つめる他の人を見るときとは違う、特別な視線を感じていたから
そんなことはない、とわたしは確信している。
じゃあ、何でコイツはしてきてはくれないのかな。
身を乗り出して、手を伸ばせば届くところにいるアイツをジッと目をやりながら
今アイツが急に振り向いて、わたしに告白をしてくる確率はどのくらいだろうか。
少しバカげた問いではあるが、これはわたしだけにしか意味がなく、解けない問題かもしれない。
何だか楽しくなってきて、ニヤニヤと笑いながら明晰な頭脳で計算してみる。
するとアイツが何を察知したのか、それともずっと黙って自分のほうをみているわたしを
気にしたのか、チラと顔がこっちを向いた。
わたしは慌てて口元を押さえ、視線を逸らせる。
それは一瞬で、アイツはまたすぐに料理のほうに取り掛かった。
……ムゥ、何よ、何か一言、言いなさいよ、ばぁ〜か。
そんな様子のシンジを見て、わたしは落胆した気持ちになった。
これじゃ、当分先、アイツから告白してくる予定はなさそうだ。
ガックリと肩を落とし、ちょっと憂鬱な気分になる。
すると料理に戻っていたアイツが、そのままの状態で
「アスカ、明日さ、久しぶりに遊園地に行かない?
ここ最近、忙しかったら、さ」
おや?
俯いて、テーブルに向いていた顔をゆっくりと上げて、こっちを見ているシンジを
お互いに見つめた。
「どう?」
わたしに柔らかい笑みで尋ねてくるシンジ。
心にどんよりと漂っていた雲がだんだんと晴れていく。
わたしは今にも飛び上がりたいのを抑えて、シンジを見上げながら
「うん」
と答えた。
そしてもう一度微笑んで体を反転させて作業に戻ったシンジの背中を見る。
どうやらさっきはじき出した、シンジが告白してくる確率の解は、大幅に
修正する必要がありそうだ。
わたしはそっと席を立ち、明日デートに着ていく服を選びに部屋へと足を進めた。
FIN
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講義中に書いた即興LAS。
幼稚な文章は覚悟の上。
ただ一言。
LAS大好きだーーーーーー!!!!!!
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zeusさんから頂いた「1000万分の1=・・・」でした。
どうやら、私がblogで書いたSSS(のようなもの)に影響されてしまったらしいのです(笑)
短さの中に甘さを混ぜるのはなかなかできないものですが、zeusさんは見事に表現されていますね。
遊園地、観覧車の中で告白・・・できるといいね、シンジ!(妄想)
素敵な作品、どうもありがとうございました!
お題SSも頑張りましょう!!!
モドル